期待通りの反応に、彼女は興奮した。


反論されたら怖いしムカつくが、全く反応しないのも暖簾に腕押しでつまらない。

泣かれたら面倒だし、これくらいがちょうどいい。


勉強はきちんと教えた。


そのついでに罵った。


ドレスのような服、美しいハーフの容姿、お金持ちにしか許されない屋敷、可愛らしい性格――



「むっかつくっ!あんたなんか消えちゃえばいいのよ!ノロマ!」



不公平だ、神様は。

彼女はこんなに恵まれている。


なのに、なのに私は。


「なんでこんなのもできないの!バカ!

バカすぎて話にならない!」


可愛らしい性格は世間知らずの証拠。

守られてる、愛されている。


「変な髪!ハーフ?中途半端ねぇ」


ムカつくムカつくムカつく…


気がつくと彼女は、生徒のアラばかり探して欲していた。



そしてその日、生徒は罵られたあとにぼんやりと呟いた。



「…ご主人様ぁ…」



その言葉に彼女は壊れた。



「何?あんた旦那がいるの?」


「旦那…?あ、大旦那さまならいらっしゃるですよ…?」


「何それ、意味わかんない。あんた今ご主人様って…」


「ご主人様…」


「誰よ、それ」



「私を愛してくれる人です」