「ここにはね、お姉ちゃんがいるの。 ゆうきおねえちゃんがいるの。 だから、大丈夫なの。」 ゆうさんはそれから少し黙ると俺の方を見て少し笑いながら続けた。 「それにね、実は私、人魚なんだ。 だから、海に帰っても大丈夫。 帰るだけだから。 ありがとう、航くん」 それだけ言うとゆうさんは俺に背を向け、海に潜ってさらに向こうへと行ってしまった。 おれは波の勢いに怯えて、手を伸ばすことしかできなかった。