「じ、実はさ…」

司路は小声で顔が赤いわけを話してくれた。

合コンは、司路のバイト仲間の男の子、しゅんくんが間になって、しゅんくんと同じ高校の女の子たちとやることになり、話は進んでいたが…
女の子たちのうち何人かが別の合コンで彼氏をゲットし、話が頓挫になりかけた。

けれど司路の残念がりようを見て可哀想に思ったしゅんくんが、社会人のしゅんくんの姉に合コン話をダメ元で持ちかけたところ、お姉さんの友だち何人かと合コンできることに。

「へぇーすげーじゃん!!
良かったな〜現実的な恋のお相手とは言えなさそうだけどな」

おれは笑って司路の肩を叩きながどんまいと言おうとした。しかしそうはならず、その手を司路は掴んで俺の方を見た。

「違うんだよ!!問題はここからで…
…その合コンによしみさんがいらっしゃるんだよおおお!!!」

司路は突然大声をだして、やっほうとか言いながら変な踊りを始めた。

「え、なに、よしみさんしゅんくんのお姉さんの友だちだったの?
つか、ちょ、落ち着け。」

「落ち着いてられるかよ〜も〜やべ〜よ〜それ聞いた時おれ泣いたもん、嬉しすぎて。」

司路は床に膝をつき、おれの机に頭と腕を乗っけて、ボールを前にした犬みたいにはしゃいでた。
こんな偶然あるんだな、なあ、やっぱりおれらは運命かもな〜なんて、浮かれっぱなしだ。でも突然真顔になって俺の方を見た。

「そこで、だ。
おれはこの合コンに命をかける!
だから適当なやつはできるだけ連れて行きたくないし、仲良いやつが近くいてくれた方が緊張しすぎないで、まだ話が出来ると思うんだ。頼む!!
一緒に行ってくれない?」

司路がこんなに頼み込むのを見たのは、中学で怖いと有名な先生の物を無くして、探すのを手伝ってくれと頼んで来た時以来だった。

「それじゃあ仕方ねーなー…
チョコもなか3個な!!」

多い〜とか文句言いながら司路は嬉しそうだった。合コンなんて、慣れないおれは逆に行かない方がいいんじゃないかとか思ったけど、司路がそんなに喜んでくれるならまあ頑張って行ってみるかとか思った。