「あーこれ美味しそうだな〜。
旬だし、今日はこれにしようかなぁ」
ゆうさんが食材片手に悩んでる。
その横で、おれはいつもと違ってかごを持ってた。
おれのかごに気付いたゆうさんはあれっと言って首を傾げながら言った。
「なになに〜今日はそんなに買うの〜?
若者は食べるね〜」
「ち、違うんです、今日は食材買おうと思って…。」
ゆうさんはとても驚く。
「あれ、前作んないって言わなかったっけ?
頑張るの?」
「はい!
これからの自分のためにもなると思うし
ゆうさんに美味しい夕飯いつか作って食べてもらいたいんで、それに…
料理のできる男ってことで、ゆうさんに少しでも好かれたいんで…」
最後の方は手を口に当てながら顔赤いのを隠しながら言った。
ゆうさんはあっえーもーと言って、
「航くん一途だなあもー
あーちょっとあっち行こ、あ、
あれとか美味しそうだよ」
結局そのあとは食材のの話、料理の話をして終わってしまった。
お互い会計も終わり、スーパーを出てわかれるとき、
「あのー…
おれ2ヶ月くらい練習したんで、
結構、いや、それなりに料理上手くなりましたよ。
だから、あ〜…
よかったら!いつでも!飯作るんで、言ってくださいっ
な、なんなら今日明日でもおれは大丈夫です!」
顔を真っ赤にしながら出した勇気は、結局あまり意味をなさず、
「えーそうなんだ〜!
航くん凄いね〜
でもわたしも料理するの好きだし、
あんまり男の人家に入れるの良くないからな〜
また、いつか機会があれば頼むね〜」
「あ、はーい…ですよね〜…」
それじゃ!とゆうさんはさっさと帰って行く。おれは自転車に荷物を載せたあと、椅子にまたがり、自転車を漕ぎ始めた。
はあ〜…
「出した勇気粉々だよー」
料理練習した意味なかったかな〜…
いや、いやいや、でもいつかとか言ってたし!付き合い始めたらきっと必要だったろうから先のために練習したんだ。
うん、そう思おー…
はあ〜…
その日おれは家に着くまでにため息を30かいくらいついてた。