「あの、大森さ・・・・・・!」
「そんなとこで固まって何してんだ?」
・・・・・・祐輔の声!?
振り向くと、祐輔がアクビをしながらこっちに向かって歩いてくるのが見えた。
途端に、猛禽類みたいだった大森さんの表情が、パッと明るく変化する。
・・・よ、よくぞ来てくれた祐輔!
早く! 早くこっち来て!
この女帝の対処、お願いー!
口をパクパクさせてるあたしを怪訝そうに見ながら、祐輔がノンビリ挨拶した。
「よお、佳那。大森、相坂も」
「きゃあ! やだ祐輔! 見ないでー!」
大森さんが急に可愛い悲鳴を上げて、自分の顔を両手で隠してしまう。
「あ? なんだよ大森。どした?」
「あたし、メイクの途中なの! こんな顔、祐輔に見られたくないー!」
「はあ? メイクだ?」
「やだやだやだ! 恥ずかしくて死んじゃうー!」
大森さんは、顔を手で覆ったままイヤイヤをする。
「・・・なら死ねば? べつに誰も止めな・・・・」
「ごほ! ごほごほごほ!!」
由依がボソッと言ったセリフを、あたしは慌てて咳ばらいしてごまかす。
もう、由依ってば! そすがにそれは問題発言!