体育館から教室に戻り、小園先生が来るのを教室で待つこと数分。
私はとくに誰とも話すわけでもなく、机に伏せて音楽を聴いていた。
「なぁ」
耳からイヤフォンが取られ、聞こえた声に顔を上げると宮田くんがいた。
「なに?」
「黒瀬って1年からこの高校いたの?」
「うん…いたよ」
ほんの少しだけ。
「え、じゃあ何組だった?」
「…4組だったかな」
「え、まじ?俺3組だったんだよ〜」
そう言って笑う宮田くんに「そうなんだ」と答えて私も笑う。
「あ、でも4組だと体育の時合同だよな?俺黒瀬のこと見たことない気がするんだけど…」
うっ…なかなか鋭いなこの人…。
「わ、私…1年の頃はあまり学校来てないから」
「そうなんか〜 あ、小園先生が無理するなとか言ってたけど、どっか悪いの?」
「う、うん。喘息で…1年の頃は入院してたから…」
「あー…なるほどな〜 もう大丈夫なん?」
「大丈夫、大丈夫」
そう言うと宮田くんは「そっか〜」と言って笑った。
どストレートに痛いところを突くよな…宮田くん。
はやく吏紗とどっか行けばいいのに…。
キョロキョロと教室内を探してみるも、近くに吏紗はいなかった。
「はーい 席つけー」
「あっぶねー…セーフ」
小園先生が教室に入ってくるのと同じタイミングで吏紗も入って来た。