【ありがとう、大丈夫だよ。心配かけてごめんね】
真子からの返信を読みながら歩く。
今日は河原でギターを弾きたい気分だったから約束の時間までギターを弾いてて今はコンビニで適当にお菓子とジュースを買って家に帰っている。
なんとなく、感じてた。真子のこと。
その気はないと言っても信じるのは難しいし、変なことまで考えてしまうのは私も知ってる。
「…昔は…とか、いまさら言えないな…」
今は今で、昔は昔。
私も吏紗も幼馴染みという関係で、この先それ以上にも以下にもならない。
「…眠い…」
歩きながらくあっと欠伸をする。
「あ、かなちゃん!」
こんな朝から大声で…まったく元気な子だ…そう言えば、アイツは元気かな…。
よく私と吏紗の後ろをひょこひょこついて来ていた吏紗の弟、颯斗…。
「おーい!かなちゃーん!」
そうそう、昔は私のことをかなちゃんって呼びながら走ってきてたっ…けっ!?
前から来た突進に全体的にバランスを崩し、後ろに倒れかけた私を誰かの腕が支えてくれた。
「イテテ…あ、ごめんなさ…」
謝罪をしながら顔をあげて、私は目を見開いた。
「は…やと?」
昔の面影がぼんやり残る、吏紗と似た顔。
小さい頃に私が笑って「はやとのチャームポイントはその八重歯だね」と言ったことを思い出す。
私を抱きとめる颯斗はそのチャームポイントを惜しげもなく晒して可愛らしい顔で笑って「かなちゃん」と呼ぶ。
「颯斗…颯斗…」
何回も名前を呼びながら、私を抱きしめる颯斗の背中に腕を回す。
「大きくなったね、颯斗」