レクレーションが終わり、班のみんなと合流した時、みんな心配してくれた。


その中で九条くんはホッとした感じの顔をしていて目が合うと優しく笑ってくれた。


教育合宿が終わっても、その頃の班の子と放課後に遊びに行ったり、たくさん時間はあったのに、私の思いは言えないまま。


いつか、言えたら良いな。


「好きです」って…。


真子sideおわり。



真子の話を聞き終えても、私と有理は何も言わなかった。


「…えっと…花奏ちゃん?有理ちゃん?」


「…あ、ごめん。私が知ってる吏紗と全然違うからびっくりしちゃった」


そう言うと同時に、吏紗たちが待つファミレスに着いた。


「…ねぇ、花奏が知ってる九条くんってどんな感じなの?」


宮田くんの「こっち!こっちー!」と言う声に軽く手を振りながら答える。


「私が知ってる吏紗?んー…とね、わがままで、俺様で、いじわるなのが引っ越す前のまだ子供だった吏紗で、今の感じは…なんか、とりあえずムカつくよね、うん。ムカつく」


有理の「花奏…」という声が聞こえなくて私はそのまま続けた。


「なんか四辻先生曰くサボり魔らしいね吏紗って。昔はあんなんじゃなかったよ。わがままで、俺様で、いじわるだったけどまだ可愛げがあった。あ、あと以外に泣き虫だったよ吏紗は。なのになんであんなになったんだろうね。ちょっとグレてる俺カッコ良くね?みたいな感じしない?」


私がそう言うと、有理と真子の顔はひきつっていて、私の後ろを見ていた。


二人の視線をたどるように私も後ろを向…こうかどうか迷った。


あきらかにナニカいる。私の後ろにナニカいる。たぶんソイツは顔に涼やかな笑顔を浮かべている。


ゴクリ…


生唾を飲んで勢いよく後ろを振り返ると案の定、吏紗が涼やかな笑顔を浮かべて立っていた。


「サボり魔で可愛げなくて悪かったな」


吏紗はそう言うと、後ろのドリンクバーから氷を1つ取って私の襟に入れた。その動作はすごく早かった。


「っ!?」


冷たすぎて声も出ない私をクククッと笑って席に帰る吏紗を私は思いっきり睨んだ。


そして…


「っ!?つめてっ!!」


仕返ししてやった。


じゃれる私たちを真子と有理は笑っていた。


それを見て私と吏紗も笑った。


それぞれ食べたい物を食べ、飲み、話し、とても有意義な時間を過ごした。