「はーい?」


「純菜だよ。開けて」


「あら、純ちゃんっ。今開けるわ」


ガチャ。


音を立てながらドアが開いた。


「お帰りなさい。

あら、弥生ちゃん、こんにちは」


「こんにちは。」



「ただい・・・」


純菜は、「ただいま」の「ま」を


言えず


泣き出してしまった。


「お、おかあさん・・うぅぅぅぅ・・・

あぁ・・・あの・・・うぅ」


「あなた、まさか。」


純菜は、頷いた。


「うちには、私立に行くお金なんかないのよ!

働きなさい!!」



ズキッ・・・


純菜の心が傷つく音が


聞こえた気がした。