ゆい。
あなたはいつもわたしにやさしくはなしかける。

ほんとうだったら、
ただの通りすがりの人に名前をよばれても、こんなにどきどきしない。

この気持ちに気づいたのはいつだろう。


ねぇ、唯なんて呼べるのはあなただけ。
固い固いわたしの殻をわってくれるのは
あなただけ。

ほんとうのわたし。
あなたのなかにあるのかもしれない。




わたしのなまえは唯奈。
晃二が調子がいい時はわたしをゆいちゃんと呼ぶ。普段は唯。

晃二っていうのはわたしの幼なじみ。
わたしは晃二を呼び捨てで呼ぶ。
これは幼なじみの特権なのかもしれない。
ママは...晃ちゃん。

こうじはいつもそれを聞いてわらってる。
晃ちゃんなんて呼べる人はママ以外にいないから。



これは私たちがまだ小学生の時の話。


こうじをみつけたのは私がこうじのいる小学校に転校してきたのが始まりだった。幼稚園おなじだよねって話したのをわたしは今でもおぼえてる。

ねぇ、こうじ。
わたしははじめからこうじのことを
友達だなんて一度も思ったことはないよ。