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 路上教習は緊張一色だった。右折の時とかマジでやばかった。おじさんの教官がキビシイ声だすから、ビクーってなってハンドルがぐらついてしまった。
パニックになりそうだったけど、今日は天気が良かったから、空を見上げたら落ち着けた。

大丈夫大丈夫。

いつもの呪文を心のなかで繰り返して、なんとか教習を終える。
おじさん教官は渋い顔をしながらもハンコを押してくれて、あたしははーっと息を漏らした。


「終わったぁ」

「良かったね。実加さん」


教習所のバス停留所で、あたしが体をのばしながらそう叫ぶのを、泰明くんはにこにこ眺めていた。
泰明くんはどうだった? なんて聞かなくても、無事に終わったのだろう。


「路上すっげ怖かった」

「あー、あたしも。教官に二回もブレーキ踏まれたもん」

「それでよくハンコもらえましたね」

「ホントホント」


自動車学校のバスが、最初に乗ったスーパーの前まで送ってくれる。
家が近いあたしと泰明くんは、いつも同じところで降りるのだ。


「じゃあ、あたしスーパーに寄っていくから」

「あれ奇遇。俺も寄ろうと思ってたんです」

「えー、珍しいね。いつもコンビニ弁当なのに」

「たまには作るんすよ」


そんな会話をしながら、一緒にスーパーに入る。今は梅干しや梅酒をつける時期だから、入ってすぐのところに梅やしそが並んでいた。