「バイバイ」


小さくなって行く背中を見送ると、やっぱり涙が出てくる。

ああ。悲しい。
だけどとても幸せだ。

あなたを縛りつけたままでいるより、ずっとずっと幸せだ。

ずっと守られてばかりいたあたしが、あなたの背中を押せた。
それが、とても誇らしいって思えるから。


短くなってしまった前髪は、もうあたしの表情を隠してくれないし、視界を隠してもくれない。

だけどこれでいいと思う。

辛さも悲しさも切なさも嬉しさも、全部あたしの感情で。
辛くても悲しくても、この広がる世界があたしの生きていく場所だ。


もう引きこもらない。
もう立ち止まらない。


自分の速度でゆっくりと、ちゃんと前を向いて生きていくから。