瓶の中の氷砂糖は輝きを残したままとろけて、梅とともに熟成して、美しく新しい色を作り出す。


「……もうそろそろ飲めそう」


瓶にコツンとおでこをあて、そういえば前髪も伸びたなぁと思う。


「二ヶ月も経ったんだもんねぇ」



――悲しくないと言えば嘘になる。

彼はあたしを癒してくれた人で、今もとても大好きだ。
だけど、彼を想う気持ちの奥に、自分に縛りつけていてはいけないという想いも確かにある。

これが大人になると言う事ならば、あたしはきっと気づかぬうちに大人になっていたのだろう。



 初めの予感を感じてから二ヵ月。

あたしはゆったりと心構えをして、力を蓄えた。


サヨナラの準備期間は、あなたを背中を押せる自分になるための熟成期間だった。




ねぇ、あたしは少しは強くなったよね?