……気にしてるなら、無理に笑わなくてもいいのに。

思い返してみるとナツくんは、いつでも笑っているようなイメージがある。
だけどついさっき見た表情のことを思うと、普段の笑顔は無理しているものなのかなっていう気がしてきた。

ナツくんの笑顔は好き。
明るく豪快だったり、穏やかで優しいものだったり、色んな笑顔を見せてくれるから。

でもそれらの裏に本音をひた隠しにしているのだとしたら、それほど悲しい笑顔はない。


「ん? 俺の顔、なんかついてる?」

「……ううん、なんでもないよ!」


じっとナツくんの顔を見ていたら不思議そうに尋ねられて、慌てて視線を逸らしながら否定する。

するとナツくんはそれで納得してくれたらしく、そっか、と言って笑みを携えた。

……何も、言えるわけないよ。
だってナツくん、気持ちを隠すように笑うから。

無理して貼りつけたような笑顔にならなくてもいいよって思っても、わたしには言えないんだ。

その笑った顔が、踏み込まないでほしいと叫んでいるみたいだったから……。



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それぞれ2ゲーム目を打ち終えたあと、休憩コーナーで一休みした。

丸いテーブルを囲む椅子に4人で座って、自販機で買った飲み物を飲む。

わたしとナツくんがオレンジジュースで、茉理ちゃんと横峰くんはアップルジュースだ。

ちなみに、横峰くんが飲んでいるジュースは茉理ちゃんのおごり。
ふたりの勝負によるおごりは、大抵ここでの飲物代らしい。