「バッティングって、想像以上に難しいねー。わたしはあの1球を打てただけで奇跡だよ……」
「あはは、大袈裟だなぁ。初めてなんだから難しく感じるだけだよ。慣れたらもっと打てるようになるだろうし」
「そうかなー」
茉理ちゃんもナツくんも同じことを言ってくれるけど、わたしがそうなれるまでには、とても長い時間が必要な気がした。
だって、それぐらい難しかったんだもん。
普通に打ててるみんながすごすぎるよ。
さっきまで自分がいたゲージの中を見る。
するとちょうど、バットを構えていたナツくんがボールを打った。
カキーン……!!
爽快な金属音に胸が震える。
ナツくんが無駄のない動きで打ったボールは、わたしが打ったときよりもはるかに遠くへ飛んでいった。
うわ、かっこいい……!
思わずそんな心の声が漏れてしまいそうになるほど、バッティングをするナツくんはかっこよかった。
練習中に打っている姿は遠目で見たことあるけど、こんな間近で見るのはもちろん初めて。
ピッチングをする姿だけじゃなくて、バッティングをするときもナツくんのフォームは綺麗だった。なんだか、洗練された感じ。
次々と飛んでくるボールをほとんど遠くへ放つ姿に、見とれずにはいられなかった。
きゅうっと胸が締めつけられる。
かっこいい姿を見れば見るほど鼓動が早くなって、好きの気持ちが滲み出てくるのがわかった。
……ああ、やっぱり好きなんだなぁ。
そう自覚すると、甘い波が全身に広がった。