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――ナツくんが好き。
そんな特別な想いに気づくと、ナツくんの存在がなかなか頭から離れてくれなくなった。
何をしていても、ついついナツくんのことを考えてしまう。
向けられた笑顔や名前を呼ばれた声を思い出しては、勝手にひとりで照れてしまう。
憧れが好きに変わっただけで、こんなにもナツくんのことを考えちゃうなんて……。
ちょっと、自分が怖くなるよ。
今日は月曜日。
ナツくんと一緒に日直を務めた金曜日のことを思い出しながら、今朝もわたしは玄関ホールの掲示板前で立ち止まっていた。
相変わらず、写真の中のナツくんはかっこいい。
でも、どうしてだろう。
以前より、その写真に気持ちが惹きつけられない。
たぶん、ここ数日で見たり話したりして、今まで知らなかったナツくんの姿を知ってしまったせいだと思う。
こんな小さな枠の中のナツくんじゃなくて、本物のナツくんに無性に会いたくなるんだ。
「……はぁ」
土日が終わって、久しぶりにナツくんに会える。
それは今のわたしからすれば嬉しいことのはずなのに、金曜日にナツくんと別れたときのことを思い出すとため息が出た。
日誌を書き終えたあのあと、ふたりでそれを職員室の担任の先生に届けたのだけど。
職員室に向かう途中、わたしはずっとテンパってしまっていた。
ナツくんが何か会話をしてくれていた気がするけど、その内容を覚えていない。