準備室を出た私は早足で荷物を取りに教室へ戻っていた。



やばい。
普段女の子扱いされないから焦ってしまった。
恥ずかしい。


「はぁー。いきなり何だったんだろう…」


まぁ、いいや。早く帰ろう。
あ、そういえば優がメールするって言ってたな。


ケータイを開くと環がお腹が減ったらしく先に帰るという内容だった。


あははっ。環らしいな。


「よしっ。早く帰ろう。あっ。」


みると黒板が消されていない。


「……んー。消した方がいいんだよな。」




消し終わった時にはもう結構日が沈んでいた。


あー。結局遅くなった。


今度こそ帰ろう。


急いで靴箱に向かい靴をはき玄関をでる。

うっ。真っ暗じゃん。
こえ〜な。


もー。一人で帰るの好きじゃないんだよね。


「あれっ?神園?」


びくっとして声のした方を向くとそこには

「夕川先生…。」


今、会いたくなかった…


「遅いね。準備室でたのはずいぶん前じゃなかったっけ?」


「あ、はい。黒板を消していたので…」


「そうなの?ご苦労様。ありがとう。」


あー。早く帰りたい。夜怖いんだけど…


「あの、それじゃあさようなら。」


そして立ち去ろうとしたら、

「神園って歩きなの?」

「そうですけど…?」


そう答えると何かを考える先生。


ホントもう帰りたいんですけど。


「乗せて行こうか?家まで。」


えっ?


「いえ、大丈夫です…」


「んー。でもこの時間帯に一人は危ないんじゃない?」




「いや、こんな男みたいなやつ誰も近づきませんから大丈夫ですよ。」


そういうと先生はすごく真剣な顔をして近づいてきた。


「さっきも言ったけど、神園は女の子何だよ⁇」


「いや、でも…あの、その」


焦っている私を見て先生は笑っている。


「うん。分かったごめん。俺が悪かった(笑)車持ってくるから待ってて。」


そう言って先生は駐車場の方へ行った。


私はいいのかなぁと迷いながらも門の前で待っていた。


すると一台黒い車が目の前にとまった。


「乗って。」窓から顔をだした先生がそう言う。


こういう場合乗っていいのだろうか…


というか、乗るとして助手席と後部座席どっちに乗るべきなんだろう。


めちゃくちゃ悩むじゃん!


そんな事を考えていると夕川先生が笑いながら助手席のドアを開けた。


「表情がコロコロ変わるね笑」


「えっ!あ、すみません。というか乗っちゃっていいんですか?」

おそるおそる聞いてみる。


「神園を乗せるためにここまで車持ってきたんだよ?」

という先生。


「あ、いや。そうじゃなくて、この席指定席とかじゃないんですか?」


「あぁ、残念ながらね笑 自由席だよ。
さぁ、乗って!後ろに乗ると俺が退屈しちゃうから。」


そう言われたので助手席に乗る私。


「お邪魔しまーす。」


あ、いい香り。爽やかででも、あったかいような優しい香りがする。


「じゃ、シートベルトしてね。行くよ。」