コンコン。


「失礼しまぁーす。夕川先生いらっしゃいますか?」


その返答は数学準備室だよ。

て、言わないとわからないでしょーがっ…
はぁ、まぁいいや。移動しよう。


そして数学準備室前。



コンコン。

「失礼します。神園です。夕川先生いらっしゃいますか?」


すると奥から声が聞こえてきた。


「はぁーい。入っていいよ。」


「失礼しまぁーす」と言って奥へ進んでいく。


あ、いた。


後ろを向いていた先生が振り返って爽やかに笑う。


「ごめん。どこにいるか言うの忘れてた。」


申し訳なさそうな顔をしている。


「いえ、構いません。それより連絡ってなんですか?」


「あぁ、あのね学級委員につまり神園には数学係になって欲しいんだよね。委員会決めた時に学級の係りも決めたでしょ?あの時数学係を黒板に書いてなかったんだけど、学級委員がやった方が連絡とかいろいろ面倒じゃなくなるかと思って。どうかな?」



うっ。数学…係。
やりたくない…。


「あの、お断りしたらダメですか?」


………


「えっと、理由を聞いてもいいかな?」


………


「いや、言いたくないのでやっぱりやります…」



「そっか、ありがとう。」


また、断れなかった。


そう思っていると
「……っ⁈」


あ、頭なでられたっ⁉


「神園ってさ、たくさんの生徒に好かれてるよね。」




「?いや、そんなことはないと思いますよ。」


「いや、そんなことあるんだよ。いろんな生徒が話してるよ。困った時に助けてくれるし、いろんなアドバイスくれたり、まるで王子様みたいだって。」



王子…様…か…。


「でも、もう少し力抜いてもいいと思う。よ?」


えっ?


「だって、神園は王子様じゃなくて女の子でしょ?」


そう言って優しく微笑む先生


「え、えっと、いや、あの…おん、なの、こ、/////////し、失礼しましたっ!」


私は恥ずかしくなって焦って数学準備室を出た。