部屋の外をそっと伺うと、父と望の笑い声が聞こえた。
随分楽しそうなのが、羨ましい。
わたしもまぜて欲しかった。
こんな狭い寝室に何故かとじ込もっているのが、寂しくて、少しでも室内の静寂を破ろうと音楽を流した。
今更だが、わたしは音楽が好きだ。
大学時代、ひたすらカラオケに通っていたわたし。
そこでバイトをしていたのが、後に恋人、夫となる直哉だった。
夫も、音楽が好きだった。
『てふてふ』と名付けられた━━━まぁ、これは夫が勝手につけたのだが……━━━アコースティックギターをしょっちゅう、弾いていた。
なぜ、『てふてふ』かというと、昔、外で練習をしている最中に、蝶がギターにとまったらしいのだ。
だから、『てふてふ』