朝食を食べ終わったあと、望と父を居間に残して、わたしは寝室へ向かった。 「よぅし!まずは、望のおもちゃだな」 寝室の窓を開けて、空気を入れ替える。 春の風が吹く。 もうその風は寒くない。 ずきん、と胸が痛む。 ずきん、ずきん……。 春は嫌いだ。 何故なら、愛するひとたちを思い出すから。