実家に戻るにあたって、
夫や葉菜の服などは、捨てることができず、友人たちに分けた。
葉菜のおもちゃは、葉菜が通っていた保育所に全て寄付した。
それらが無くなれば、家の中はどうも物淋しい雰囲気が漂った。
わたしは今度は大きな段ボールを用意して、その他、どうしても捨てられないものを、手放せないものを、入れた。
葉菜が生まれてから撮りためた写真。
葉菜が母の日に書いてくれた似顔絵。
夫からもらったラブレター。
夫とわたしの結婚指輪。
そして、
葉菜が最期に持っていたシャボン玉。
その段ボールはしっかりとガムテープで閉められていて、未だに、わたしと望が寝起きする寝室の片隅に置いてある。