葉菜が大好きな、鮭の三角おにぎり。
甘党の夫のための甘い卵焼き。
ふたりが大好きだった、さくさくの唐揚げ。


どれも、ふたりを想って作ったお弁当だった。


朝ふたりは、元気一杯、家を出ていったのに。


ふたりは、何も悪いことなんかしてないのに。


ただ、かばさん公園の桜を見に行くだけだったのに。


あまりにも、呆気なく。


情けないほど、あっさりと。


ふたりは、突然、わたしの前から、姿を消した。


そう、まるでシャボン玉のように。