頭が何もついていかないまま、わたしは佐藤さんに引っ張られた。


もう少ししたらお弁当を持って歩くはずだった、かばさん公園までの道を、走った。


曲がり角を曲がった瞬間、見えたのは、地面に落ちた小さなピンクの鞄。


「葉菜のシャボン玉だ……」


わたしはそれを拾い上げ、前方を見た。


横断歩道の上に人だかりができている。


その人びとの隙間から、小さな腕が見えた。
透き通るように白い葉菜の腕は、真っ赤に染まっていた。