「シスター・シャーリー…どうかされましたか?」
「え…ええ、あの…
大臣が少し気になる事を言っていたのです。」
シスター・シャーリーは振り返り、おずおずとした様子で答えた。
「……気になること?」
シスター・シャーリーは、俯いたままで小さく頷いた。
「国王を生かしておきたい理由が、なんでも『取り損ねたものがある』からだと…」
「……取り損ねたもの…?
一体、何のことでしょう?」
「ギリアスさんにも思い当たるものはありませんか?」
「……そうですね。
この国を手に入れること以外にあの大臣が望むもの…
しかも、取り損ねたという言葉を考えれば、それは一度失敗したことのように思えます。
大臣がこの国にやってきたのはそう昔ではない。
一体、何のことなのやら…」
ギリアスは腕を組み、首を捻った。
「……つまらないことを言ってすみません。
そんなこと、今は考えなくても良いことですよね。
では、私はこれで…」
シスター・シャーリーは、そう言って隠し部屋を後にした。
*
「……ギリアスさん、一体何のことなんでしょう?
大臣が取り損ねたものとは…」
「ライアン、今はそのことを考えても仕方がない。
それよりも、国王救出の作戦を整えよう。
まず…王が以前どこに監禁されていたかだが…二ヶ所の地下牢のどちらでもないことを考えると…ライアン、どこだと思う?」
ライアンは、ギリアスの話を聞きながら城の見取り図を広げた。
「地下には牢以外にいくつかの小部屋があります。
ここは、一般牢の番人達の休憩室のような場所です。」
ライアンは、一般牢のすぐ隣の部屋を指差した。
「ですが、こんな所に国王を監禁していたとは思えない。
それと、こっちの…ここが武器庫、そしてこっちが宝物庫です。」
「おい、ライアン、それは部屋というより倉庫じゃないか。」
「でも、鍵が厳重に出来る。
そういう意味では国王を監禁するのにはもってこいの場所じゃないか?」
「武器庫は無理だと思う。
あそこには人が横になれるようなスペースはないし、火薬や薬品もある。
万一、陛下がそれを使われたら大臣も困るだろうし、あそこには入れないと思うぞ。」
「じゃあ、宝物庫でしょうか?
ギリアスさん、宝物庫の内部はどうなってますか?」
ギリアスはゆっくりと首を振った。
「残念ながら、私は宝物庫の中には入ったことがない。
兵士で扉の中へ入ったことのあるものはないのではないか?」
その言葉に、兵士達は黙って頷く。
「え…ええ、あの…
大臣が少し気になる事を言っていたのです。」
シスター・シャーリーは振り返り、おずおずとした様子で答えた。
「……気になること?」
シスター・シャーリーは、俯いたままで小さく頷いた。
「国王を生かしておきたい理由が、なんでも『取り損ねたものがある』からだと…」
「……取り損ねたもの…?
一体、何のことでしょう?」
「ギリアスさんにも思い当たるものはありませんか?」
「……そうですね。
この国を手に入れること以外にあの大臣が望むもの…
しかも、取り損ねたという言葉を考えれば、それは一度失敗したことのように思えます。
大臣がこの国にやってきたのはそう昔ではない。
一体、何のことなのやら…」
ギリアスは腕を組み、首を捻った。
「……つまらないことを言ってすみません。
そんなこと、今は考えなくても良いことですよね。
では、私はこれで…」
シスター・シャーリーは、そう言って隠し部屋を後にした。
*
「……ギリアスさん、一体何のことなんでしょう?
大臣が取り損ねたものとは…」
「ライアン、今はそのことを考えても仕方がない。
それよりも、国王救出の作戦を整えよう。
まず…王が以前どこに監禁されていたかだが…二ヶ所の地下牢のどちらでもないことを考えると…ライアン、どこだと思う?」
ライアンは、ギリアスの話を聞きながら城の見取り図を広げた。
「地下には牢以外にいくつかの小部屋があります。
ここは、一般牢の番人達の休憩室のような場所です。」
ライアンは、一般牢のすぐ隣の部屋を指差した。
「ですが、こんな所に国王を監禁していたとは思えない。
それと、こっちの…ここが武器庫、そしてこっちが宝物庫です。」
「おい、ライアン、それは部屋というより倉庫じゃないか。」
「でも、鍵が厳重に出来る。
そういう意味では国王を監禁するのにはもってこいの場所じゃないか?」
「武器庫は無理だと思う。
あそこには人が横になれるようなスペースはないし、火薬や薬品もある。
万一、陛下がそれを使われたら大臣も困るだろうし、あそこには入れないと思うぞ。」
「じゃあ、宝物庫でしょうか?
ギリアスさん、宝物庫の内部はどうなってますか?」
ギリアスはゆっくりと首を振った。
「残念ながら、私は宝物庫の中には入ったことがない。
兵士で扉の中へ入ったことのあるものはないのではないか?」
その言葉に、兵士達は黙って頷く。