「なんで?」

「だって教師に見つかったら、ミーコ、追い出されるじゃん。・・・こいつには、居場所を失くして欲しくないから」


『こいつには』

彼は、何故だか寂しそうに呟いた。



それって・・・


「あなたにはないの?居場所」


自然と、ごく自然と、そう聞いていた。

だって、彼の言葉は、自分には居場所がないって言ってるように聞こえたから。



「・・・ない。ずっと」

「・・・・・・ず、っと」


彼はすごく悲しそうな瞳で、ミーコを見つめた。



そうか。

だからいつも、悲しそうなんだ。


居場所がない・・・か。


あたしには、分からない。

けど、それは、とてもとても辛いことなんだと思う。



「動物、好きなんだね」

「ああ・・・家にも、犬がいるんだ」

「へぇ・・・」

「そいつだけが、俺の家族」