翌日も雨が降っていた。
涼哉の弁当を作っている際、雨音がうるさくてイライラする。でも美味しく作りたいから、何度も深呼吸をした。料理には心が移るって、お母さんに言われたからだ。
「あ……」
冷蔵庫を覗いて見るとあるのと思っていたミニハンバーグは無かった。昼にでも食べたのかな。
仕方なく涼哉の好物であるアスパラベーコンを入れた。

下校時も雨は降っていた。傘を広げ1歩外に踏み出たら…
「待って!」
後ろから声がした。振り返れば急いで靴を履き替える涼哉の姿。
「なに?」
「傘忘れちゃってさ。入れて」
何を言い出すかと思えば…。呆れていると横に涼哉が並んだ。
「狭いね、やっぱり」
所謂、相合い傘になってわたしたちは歩き出す。
傘から垂れる水が少しずつ肩を濡らしていく。雨の音だけが包む時だった。

ズワァアアアッ…