その後は、孤児院の院長である鹿谷野 真希に酷く怒られた。真希は、わたしたちのお母さんである。
「まったく!物を投げちゃいけませんっ」
「はっ、はい…。ごめんなさい」
「涼哉もよ!女の子の着替えを覗くなんてっ!」
「いやっ、だから、あれは!」
「言い訳は聞きません!」
「…ぅ……、はい」
涼哉は、額を赤くしている。籠が当たったからだ。
「二人とも、ほらっ!ごめんなさいは?」
「ん…」
「ごっ、ごめんなさい」
「ごめん…」
この年で、お互いに『ごめんなさい』とは…。お母さんは容赦がない。
「はい♪偉いわ、蕾、涼哉。もう寝なさい?明日も学校なんだから」
怒ったときは容赦がないけれど、笑った顔は何処からどう見ても、優しいおばさんだった。
「「おやすみなさい」」
「は~い♪」
二人一緒にお母さんの部屋、院長室を出る。ドアを閉めたら同時に『はぁ…っ』とため息をついた。