下着類を持って、お風呂に向かった。その際に涼哉に言われたナっちゃんも呼んで入りに行く。確かに顔色が悪い…。
「蕾お姉ちゃん…」
「ん…?」
消えそうな声で話しかけてくるナっちゃんに首を傾げた。
「ムカイくん、居なくなっちゃうの…?」
「………」
ムカイくんとは、ナっちゃんと同期の孤児だ。仲が良い二人は、いつも隣同士に座ってご飯を交換していた。その片方、ムカイくんの方が先日引き取られることが決定した。
「ムカイくん…っ……」
「居なくなったりはしないよ。違うお家に引っ越すだけ…」
「もう会えないんでしょう…?」
「そんなこと…っ」
何でだろう…。言葉に詰まる。
どうしたらいいのかな…。
「ナっちゃんは、ムカイが好きなんだね」
「え…?……、うん…」
「ムカイは幸せなんだね。きっとムカイもナっちゃんが好きなはずだよ?離れたくないくらい…。でも離れなきゃいけない。どうしてかわかる?」
ナっちゃんは静かに頭を振った。わたしにも答えはわからないけど、気付いたら言っていたんだ。
「向衣は、ナっちゃんが好きだからだよ…?」