頭が可笑しくなりそうだった。考えるだけで嫌だ。ツっちゃんにそんなことさせられない。見たくない。

ツっちゃんは俺と同じように物わかりが良い。それに兄ちゃんのことが好きみたいで…。兄ちゃんが金に困ってると知ったら、受けるだろう…。幾人もの男に抱かれることを…。

その日の帰り、結局俺は逆援を辞めることが出来ず自分に嫌気がさしていた。また、ツっちゃんに援交をさせないようにと気を張る。そのせいもあって、足元はフラついて今にも倒れそうなのが自分でもわかった。
「キミ、大丈夫…?」
通り掛かる人に不審に見られる中、一人の女性が俺を支えてくれた。そこで俺は気が狂ったんだ。
「あぁ…、大丈夫……です!」
「えっ!ちょっ、ちょっと!」
笑顔を向けると同時に、その人の手を引き走る。路地裏へ。一度振り返り、誰もついてきていないこと確認。
入り組んだ路地で、人が居ない、また人に見られない場所を探し立ち止まる。女は俺の手を振りほどこうと、俺の手に爪を立てた。
そして俺は手を一瞬離し、女を壁に押し付ける。そのままキスをして…
「おねーさん、抱いてあげる」
自分でも驚く程に、大人びた声を出して彼女を誘った。