「うーっ、美味しいっ！」
クレープはとても美味しかった。
「美味しいねっ……って、早瀬君は食べないの？」
「あぁ、俺甘いの嫌いだし。」
甘いの嫌いなんだ、なんかもったいないな。
「甘いの嫌いなんて人生損してるよ。もったいないよ。」
私がそう言うと早瀬君はため息をついた。
「人生損、か。それは困ったな。」
「そうだ、私のクレープ、一口いる？」
美味しさは共有しなきゃね。
「……は？おまえ、俺こと好きなの？」
「え？嫌いだよ？」
「はっきり言うなよ。
いくら好きじゃない女でもそんな即答されると傷つくんだけど。」
自分で聞いておいて勝手に落ち込む早瀬君。
「だって嫌いだもん、で、一口、はい。
食べて、早く。」
「うぐっ…」
無理矢理早瀬君の口に突っ込む。
「甘ぇ………」
「美味しいでしょ？」
「甘い。それしか浮かばねぇよ。」
「えー？美味しいのに…」
そう呟いてクレープを食べようとする。
