「父さんも、結構耐えてた。


けど、ある日…


俺に、『ごめんな。パパ、もう一緒に遊んでやれないわ。』って言い残して出てった。


謝るくらいなら、努力しろよ!あいつが自分のとこに戻って来るように、なんかアクション起こせよ!って、今なら思うけど、当時の俺にはなんにも理解できなかったし、もうあんまりそん時のことは覚えてない。


そっから、あいつの男遊びは激しくなって、ほぼ毎日のように違う男を家に連れてきた。


それは俺が中学上がる頃にまで続いて、でももうその頃には俺も慣れてた。


だけど、俺があいつと縁を切ろうと思ったのは、


ある時、恒例のように連れてきた男が、俺の担任だったんだよ。


1、2週間続いたけど、すぐに別れた。


そしたら、今まで優しかった担任が手のひらを返したように俺に冷たくなった。


俺だけ荷物運ばさせられたり、宿題増やされたり、居残りさせられたり…


とにかく色んなことをされた。


俺もその頃から色々どーでもよくなって、色んな女と遊び出した。


今考えると、ほんっとあいつと変わんねぇことしてきた。


さいってぇなんだよ。俺は…。」


そう言って、勇大君のついていたボールは、一度もシュートされることなく、勇大君の腕に戻された。


「俺が高校入る頃、あいつはデザイナーの仕事の関係でニューヨークに行くことになって、そっからは別々に暮らしてる。


…って、クロエより全然、たいした傷もおってないんだけどな。」


そう言う勇大君の目には、微かに悲しさが感じられた。