勇大君は、公園に転がってあったボールをとって心地いいリズムでドリブルを始めた。


「あいつ、俺の母親さ、めちゃくちゃ男遊び激しくて、男たらしって言うか…。


しかも、すっげぇーもてんだよ。


あのルックスだし、来るもの拒まず出し…」


確かに勇大君のお母さんはとっても綺麗だし、すっごく若く見えた。


いや、きっと本当に若いんだと思う。


「でも、あいつが大学入って2年になるころ、俺の父さんと出会ったんだ。


すっごく優しくて、あいつとは真反対の性格だったらしい。


だからあいつはすぐ好きになって、そっからは男遊びも減ってったらしい。


で、あいつが20になる頃、俺が生まれた。


あいつは大学辞めて、俺を育てるのに専念した。


あいつより1歳上の父さんは、卒業したらすぐに会社に就職して、家族養うために一生懸命働いた。



…なのに。

なのにあいつ、そんな父さん裏切って、他に男つくったんだよ。」


勇大君のボールをドリブルするリズムがだんだん速まって行く。