反射的に振り返ると、つばの広い黒い帽子を被った男がアン達に銃を向けていた。
少しつり上がった切れ長の目に、ニヤリと殺意のこもった笑みが浮かぶ。
……油断した!
もう一人いたんだ!
とっさに腰のナイフを握った。
「……っ!」
だめだ、間に合わない!
そう思って、アンは女性を包み込むように抱きしめた。
そして、次にくるであろう衝撃を覚悟して目を閉じた。
パァーン!!
「……な……んで……。」
くるはずだった衝撃が来ない。
ゆっくりと目を開けると、目の前に男の人が両手を広げて立っていた。
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