「だってよ。執事さん。」
あー、やっぱり陰で聞いてたのばれてたか。
「何ですか?アレク様?」
「おまえだろ?あいつが惚れてるのは。」
「いえ、私は知りませんが……」
「絶対そうだな。おまえも惚れてるのか?」
「私は執事です。しかもバイトでさせてもらってるのですから、余計な感情はいれません。」
「ほぅ……クールだね~」
「そういうあなたこそ。なかなか優しいところがあるではありませんか。」
「ほめるね~」
「いえ。……手を引くのですか?」
「最初から惚れてくれないのは目に見えてたからね~。他の奴とは違うから。ちょっと落とせたらおもしろいなと思ってたくらいだし。」
嘘つけ。途中から絶対本気だっただろ。
「んじゃな。あ、これ伝えとけよ。」
なんだろ。
「あのなかなか素直になれないのは、いつか自分が傷つくぞ。ってな。」
「……はい。かしこまりました。」
アレクが出て行こうとしたとき少し呼び止めた。
「あの、」
「なんだ?」
「また会おう。今度は俺の友達として。」
「おう。俺もお前のこと気に入った!」
と、言ってにかっと笑った。
やっぱいい奴じゃんかよ。
そう思いながら、アレクの背中を見つめていた。