いつもの服に、薄い紫のかかったマントを羽織った。
フードもついている。それをかぶり、町へと出た。 

高宮も普通の服を着ている。


「確か、バイトとか言ってたよね。この町に住んでるの?」

「ここではないよ。」

じゃあ、期間が終わったら去っちゃうのか……

じゃなくて!いい気味よ!うん!



「わぁっ……」

私は剱水を置いて、走り出した。

なぜなら、見たことがないパンが並んでいたからだ。
それに、お皿ではなく、竹のかごに入っていた。 

思わずしゃがんで、

「おいしそーー」

目を輝かせて見た。すると、お店のおばあさんが、

「お嬢ちゃん、初めて見るの?」

「はいっ!」

「そうかい。なら、これがおすすめだよ。」

「これ、なに?」

「チョコパンだよ」

剱水が教えた。私に追いついたのだろう。

「チョコとパンって合うの?」

再びお店のおばあさんに聞いた。

「もちろんよ。10ロールね。」

お金を払った。色々買うだろうと思い、お金を用意していたのだ。

「あ、もう一つもらってもいいですか?」




剱水を少し待たせてしまった。

「どうしたんだ?急にさっきの店に戻って……」 

紙袋に入ったパンを突き出した。

「はい。あげる。」

剱水は驚いた顔で受け取った。

「連れてきてもらってるだけはよくないと思っただけだからね。」

しばらく黙っていた剱水が口を開いた。

「ありがとう。陰陽師。」

「………////」

こんな風にお礼を言われると、照れる。