−足元は一面の花畑−
遠くから白馬に乗ってやってくる王子様。

『亜弥…』

手を伸ばし.王子様に抱き着こうとするあたし。

『…佐藤』

ぇ?苗字?
まぁぃぃ。
王子様とあたしの手が重なりそうになる−

「佐藤!!!」

ばしっ!!!

王子様があたしの手をひっぱたいた…

と.同時に目が覚める。

「痛ッたぁ…っ」

…て

…え(・ω・`)

ぇえぇ!?(゚ω゜)

目の前に居たのはもちろん王子様じゃなく

担任の数学教師.武田っち。

50代後半のぉじさん先生だけど
まだまだパワフルな奴だ。

「もう一回叩かなきゃ目が覚めないか?」

武田がちょっとあたしを睨む。
手には教科書…の角であたしの手を叩いたらしい。

「や.覚めてます…ずっと」
むくりと体制を整える。
斜め前の席.親友のさやがにやにやしてる。
「馬鹿。佐藤はしばらく立ってろ。」

武田が黒板の前に戻った。

「あ-ぃ…」

小さく返して椅子を引く。
ぎぎっと耳障りな音がして.一瞬隣の席の子に迷惑をかける。

だるい…眠い。

あたしはぼ-っと窓の外を見た。
叩き起こされたからって反省して
授業を聞くわけじゃない。

地域での学力平均も並の私立 華城高校。
校則も緩くて.自由な学校に入って1ヶ月。

あたし

佐藤亜弥は.

かなり毎日を満喫中

中学の頃はかなり校則が厳しくて.
真っ黒な髪に膝まであるスカート。
19時以降の外出なんてもってのほかだった。

でも今は真逆。

中学から一緒のさやと一緒に.春休み中に
ブリ-チ剤で金に近い髪色にして.
スカ-トは買ったときから膝上25センチ。
バィトもやってないから夜は遊び歩いて…

毎日が色んな意味で忙しい。

楽しい


悩みは1つだけ…

彼氏がいない。

別に機会がないわけじゃない。
華城は共学だし。