必死に睨むような目つきを作り、唇を噛んで涙をこらえる。
なんで今のタイミングで振り向くのよ・・・。
今こそ顔なんて見て欲しくないのに、あたしの方に振り向き、目線を合わせてくる。
「黙ってないでなんか言ってよ。
なんであんなことしたの・・・?」
サァァと吹く風。
それはもう、秋の冷たさが混じってる。
あたしたちに流れる沈黙もその風で飛ばしてほしい。
すると、悠斗は小さくため息をつくとあたしに近づき、頬に触れる。
びっくりして小さく揺れるあたしの肩。
「・・・お前、本当に好きな人なんているのか?」
少し悲しそうな顔で小さく問いかけてくる。
「・・・い、いるよ・・」
それは、悠斗だよって言えたらどんなに楽なんだろ。
心の中ではそんなことを考えてしまう。