ザワザワとざわめくお客さんや生徒たち。




そんなのはおかまいなしにずんずんと歩いていく悠斗。




歩いていくうちにどんどんと遠くなる灯や生徒たちの賑わってる声。




すっと立ち止まったのは男子も女子も共用で使える中庭。




でも今は誰1人いなかった。




「ねぇ、どうして何も言わないの?」




聞きたいことはたくさんあるのに、中々聞けない。




あたしが話しかけてるのに、何も言わない悠斗に手を伸ばそうとしてぴたっと止める。




ふと浮かんだのは桃の顔。




・・・・そうだ・・・あたしがこんなことしたら悠斗が・・・。




伸ばした手を無理やり引っ込め、必死に自分を嘘で塗り固める。




「ねぇ、なんか言ってよ・・・?
あたし言ったよね、好きな人が出来たって。

なのにあんなことされたら、困るの。
なに、あんなことしたらお客さん喜んでくれるかな?とか思ったの?」




泣くな・・泣いたら嘘だってバレる。