その男子は、私の隣まで近寄ってきて、止まった。
「え?私なんかしたかなぁ…。」
そう思っていたら、違った。
ただ、私の隣の席だった。
「おい、笹原。なんで遅刻したんだ。答えろ」
笹原君は、無視して顔を伏せている。
あーあ、松川がキレるよー。
「おい、笹原、聞いてんのか!?」
はい…。キレちゃった…。
静まり返った教室には、不思議な音が鳴り始めた。
ぐぅがぁ

これ…は…いびき?
そのいびきらしき音は、隣の笹原君から鳴っているようだ。
しかも、笹原君をよく見ると、顔が傷痕ばっかりだ。
「いったそ…。」
笹原君の心配をしている暇はなかったんだったぁ。