君と過ごしたあの1年は、かけがえのないものでした。
私と一緒に笑ったり、泣いたりしてくれてありがとう。
君と過ごした時間をここに記す…

4月
見慣れた街、見慣れた通学路、何気なくぼんやりと歩いている。
私、浅井春香は今日から高校3年生になる。
今年でもう高校生活は、終わりなんだって思うと、なんだか寂しい。

「はーるかっ!」
遠くから聞きなれたかわいい声がする。
「おー!おはよ!マイ!」
この子は、高校からずっと同じクラスのマイ。
声が声優みたいだし、自分のこと、マイって呼ぶから周りからするとぶりっこって思われてるらしい。でも、本人は全く気にしていない。
「マイ、昨日ねー、彰悟くんとデートしたの。プリとったしーめっちゃ楽しかっ たの!しかも、家まで送ってもらっちゃって優しかったの!」
「あーもーマイの彰悟君トークはいいから。毎日彰悟くんの話ばっかでしょ!? 彰悟君に惚れすぎ!」



マイは、同じクラスの彰悟くんと春休みからつきあってる。
まぁ、マイは学校の中でもけっこうかわいいほうだし、けっこう男子とつきあってる。だから、ぶりっことか言われてんのかもしれない。

「でね、でね、彰悟君ったらねー…」
「あーはいはいはいはい!わかったから!マイの彰悟君LOVEは!」
「でも、はるか…あんたも彼氏作ったほうがいいよ?だって、今日から高3だよ
 ?ひとりぼっちじゃ寂しいじゃん。」
「私は、彼氏なんて作りたくないし、いらないの!」
「えー?」
こんな話をしていると、校門があと10m位にせまっていた。
「マイ!やばいよぉ!生活指導の荒川が校門の前に立ってるって!」
「おいコラ!そこの女子2人ぃ!走らんか!チャイムなるぞ!」
二人は学校に向かって走り始めた。
ズキッ
私の横腹に痛みが走った。
「なんだろ…この痛み…」
私は、気にせず学校へ走った

私たち二人は、今年も同じクラスで3-Bだった。
「マイ、うちらまた同じクラスだねっ」
「春香と一緒とかマイ、ちょーうれしいよぉ」
ガラッ
マイが勢いよく教室のドアを開ける。
「おっはよー!」
なんだか、知らないメンバーが多いようだ。
私の席は、窓際の一番後ろだ。
「よっしゃー!ラッキーポジション!」
そう言って、席につく。
マイの席は、一番前の一番右。私とは、一番遠い席。

キーンコーンカーンコーン

がらっ

「よーし、ホームルームするぞー」
チャイムピッタリに熱血体育教師の松川が入ってくる。
「出席とるぞー。相川ー」
「うぃー。」
みんな、だらしない返事をする。
「笹原ー」
教室が今までざわついていたのとうってかわって静まり返る。
「おい、笹原はー?」
と、担任が呼びかけた瞬間。
ガラッ
勢いよく扉が開き、長身の男子がズカズカと入ってきた。