話が逸れた。

厳しい取り調べの末、売人である男は少しずつ流通ルートについて話し始めた。

「クスリは…暴力団関係者から卸された…」

「何処の組だ?」

巽が詰め寄るが、男は口を割ろうとしない。

「言え!」

「い、言えねぇよっ…言ったら俺が殺されちまう…」

男の怯え具合から察するに、偽らざる本音のようだった。

確かに、組を警察に売った際の暴力団の報復は恐ろしいものだ。

売人一人を殺害するくらい、彼らは事もなくやってのける。