だがここにいる中毒者達は、この廃村の住人ではない。

年格好から見る限り、新宿や渋谷、池袋辺りで遊び歩いているような若者達だ。

恐らくはバスソルトを売人から購入し、都市部で使用していると警察に検挙される為、こんな山奥にまでやって来て摂取したのだろう。

もしかしたら、バスソルトとは知らずに使用したのかもしれない。

いつかの10代の少女達のように、『メリーちゃん』などという可愛らしいネーミングに騙され、この薬物の本当の恐ろしさを知らないままに使用した。

その結果が、こんな心霊スポットのような場所で、化け物同然となって徘徊する羽目になってしまったのだ。