「え?何?お父さん、もう一度言って?」


お父さんがとても言いにくそうにごにょごにょと話すもんだから、『お父さん……』のあとがよく聞こえなかった。


何なの?そんなに言いづらいことなの⁉︎


しばらくの間沈黙が続いたあと、お父さんが1つ息をついて、ゆっくりと話し始めた。



「あのな、結菜。お父さん、仕事の都合でアメリカに行くことになった」


えっ!?


「アメ……リカ?」


って、あのハリウッドとか、自由の女神像とかがあるアメリカ!?



「結菜には急で悪いが、3週間後に家族みんなでアメリカへ引っ越すことになる。……ごめんな」

すごく申し訳なさそうに、あたしに謝るお父さん。


うそでしょ!?引っ越しとか……さっきの嫌な予感が、見事的中してしまった。


それに、国内ならまだしも、アメリカなんて……嫌だよぉ。