「ええ?!綾那、私のこと覚えてないのか?!」


わたしはううっとみみを押さえる。


みぃちゃんは私の肩を掴んでブンブン振りまくった。


「私たちは大親友じゃないか。それを忘れるなんて……」


みぃちゃんは私を絶望した顔で見ている。


「ご、ごめんね……。記憶がなくなっちゃってて…」


さっきぶつかったのはみぃちゃんで、私と同じクラスで友達らしい。


「アンタが目覚ましたって聞いて、すごい嬉しかったんだ。怜くんが私に連絡してくれてな。でもすぐには会いに行けなかった。私、剣道の試合があって……」


今わかっていることは、怜馬、みぃちゃん、私は同じクラスで同じグループ。


いつも一緒にいる仲良しで、みいちゃんこと真鍋 美菜子は、剣道がすごく得意なんだって。


「今日も怜くんにつれてきてもらったんだ。怜くん、すごく心配してたぞ」


「あ、そ、そうだ!ねぇみぃちゃん、私、記憶のある頃に彼氏がいるとかみぃちゃんに言ってなかった?!」


私がぐいっと顔をちかづけて聞くと、みぃちゃんは首をかしげた。


「なんだ?気になるのか。……いや、私は誰かと付き合ってるとか綾那から聞いたことはないな」


「そ、そっか…。わかった……」


私はしょんぼりとうつむく。


みぃちゃんになら恋の相談とかしてるかとおもったんだけどな……。


「ごめんな。だって綾那、好きな人とか聞いても全然教えてくれないし」


「ううん!いいんだよ全然!」


私は首を振った。