「はあ…」


私はベッドの上でため息をついた。


ついこの前、起きたら記憶がなくて、そしたらなんかイケメン兄弟と一緒に住むことになるし、しかも私はその兄と付き合ってるとか……。


涼馬、私が覚えてなくてショックだろうなあ…。


「なあにため息なんてついてんの」


大の字で寝転がっていると、ひょいっと怜馬の顔が現れた。


「わあっ?!」


びっくりして思わず可愛くない声をあげる。


すると、怜馬はハハハと笑った。


「面白いなー綾那は」


「ななな、なんで勝手に入ってくるのよ!」


私はガバッと起き上がって怜馬の顔を指さす。


「だってどんなにノックして綾那全然気がつかないし、なんかブツブツひとりで言ってるから心配になっちゃって」


「だ、だからって……!」


私が顔を真っ赤にして怒っても、怜馬はただニコニコと笑っているだけだ。


「あのねー怜……」


すると、突然怜馬の顔が私の顔の近くまで寄ってきた。


「?!」


私は突然の出来事に一瞬戸惑ったけど、なにが起こりそうなのか分かってきた。


「だ、だめ!」


私は怜馬の体を思いっきり突き飛ばした。


はぁ…はぁ…と息荒くしている私の顔をれいはなんだかかなしそうな表情で見ていた。


「綾那。ごめん、俺、もう…」