「い、いえ、そうではなく…」
「じゃあ、どういう事かね?」
「あの、お金もないし、ちょっと、あの家庭の用事です。」
ああー、どうしよ。ボロがでそうだ。怒音さんに『ここの事は言ってはだめですよ。情輝様が狙われるかもしれませんからね。』って、言われたから。頑張って断らないと…!
「家の用事?なんだね、それは?」
くそっ!この親爺うぜえっ!
「はい、そ、その両親が亡くなったら、学校は辞めなさいっと、ゆ、ゆ遺言状に書かれていてっ!」
「…ふぅっ、ならば仕方ない。両親の遺言とあらばな。では、退学書類だ。」
校長先生は、ひらりと一枚の紙をだした。
遺言状ってなんだよっ?!馬鹿かオレは!しかもそれで納得する校長先生も…。
「サインした前。ここに。」
「は、はいっ!」
渡されたペンで名前を書く。流石に羽ペンではないよね、はは。
「ご苦労。さて、これで君は退学だな。行っていいぞ。」
「は、はあ。失礼しました。」なんだあの爺め、失礼だなと思いつつ、僕は校長室のトビラをしめた。