「笠松安希です。立向居優輝さんをお連れしました。失礼します。」
校長室のトビラを安希先生が開ける。
「立向居くんかね。入っていいぞ。」
校長先生は、朝会などでよく見かけるがそこまでじっくり見たことはなかった。(別にじっくり見たくもないしね。)
顔は皺がけっこうついてて、口元に灰色の髭がついてる。眉毛も灰色で、優しいおじいちゃんみたいな感じだ。

「はい、あの。今日は退学の申請をしたくてここに来ました。」
緊張気味に言うと、校長先生は安心させるような深い笑みになって、
「それは、また何故かね?」
と聞いた。やっぱり退学にはそれなりの理由がないとダメだよな、怒音さんが、
『そういうことを聞かれた場合は、学校に行けるほどもうお金が無いからです。って言えばいいんですよ。そうすれば、コロッと分かった、と言ってくれると思いますよ…たぶん、』
と教えてくれた。のでそのまま言ってみる
「学校に行けるほどもうお金が無いからです。」
よし、言えた!
「ふむ…。では、教育料を払わなくても良いと言ったらこの学校に通うのかね?」
納得するかとおもったら、全く予想外の答えがかえってきた!!