「ごめん七海っ」


準備を終え、私が慌てて玄関を飛び出すと、

「あははっ、ちひろったら。また寝坊〜?」


私の親友、坂田 七海 (さかた ななみ) は柔らかく微笑んだ。



「う…ごめん。最近なんか、考え込んじゃうんだよね。」


「彼のこと?」


「うん…。」


ななみは、私の事情を知っている、家族以外では唯一の存在だ。



真剣な顔つきになったななみは、私を真っ直ぐ見て、

「ちひろ。1人で抱え込みすぎないでね?何か不安なことがあるなら、私に話して、カラオケでも行って騒ご?」


「ななみ…。ほんとにありがと。」


いつも温かく私を慰めてくれて、辛いことは全て共有してくれる、大切すぎるくらい大切な存在。