私、雅 千尋 (みやび ちひろ) は、大切な人と別れたあの日から、毎日同じ夢を見る。


夢の内容はいつも同じで、私も彼も幼い頃のままだけど、唯一、変わっていくところがある。


それは、最後に聞く、彼の声だ。

夢の中で、私が意識を失う寸前に聞こえる彼の声だけは成長してきた。

はじめは幼く、女の子のようだった声が、今では低く、優しく響く‘‘男の声”だった。