「料理研究家の人って、そんなにイケメンなの?」


「美莉亜の好みかは分からないけど、個人的にはタイプかな」


「篠塚くんはもう好きじゃないってこと?」


「そりゃ好きだけど…
何で芸能人はファンと恋愛出来ないんだろう

出会いがあれば良いのにね~
その方が夢もあるし♪」


料理研究家に会える喜びで、お姉ちゃんがウキウキしている。
まるで恋する乙女のように、頬を赤らめている。


芸能人って中々会えないよね。
都会の街中歩いていても、会えない人は会えないし、運が余程よければ会えるし。


でも芸能人とファンの恋愛って、あまり聞いたことがない。


もちろん篠塚くんも芸能人だけど、何て言うかその、結構複雑な関係だなって。


もし由紀さんと篠塚くんが付き合ったら、篠塚くんのファンは減っちゃうのかな?


私…何で篠塚くんの心配してるんだろ。

今は自分の心配しなきゃ!



お姉ちゃんと来た道を戻り、一階の入り口に向かった。
本当に時間合ってるのかな?


そう思っていると、お姉ちゃんが私を他所に急に走り出す。


「お姉ちゃん?ちょっと待ってよー」


走り出すお姉ちゃんの後を追っていくと、だんだん人だかりが出来てる場に遭遇する。


あの人だかりがそうなのかな?


急に走り出したお姉ちゃんが立ち止まり、私はお姉ちゃんにぶつかりそうになった。


徐々に人だかりも無くなり、イケメン料理研究家の人がお姉ちゃんに声をかける。


「こんにちは!少し早いけどメリークリスマス!」


「あの、私、マリーです」


「あー!いつもSNSに返事くれてる子?
いつもありがとうね♪」


そう言った料理研究家の人が、お姉ちゃんにクッキーを手渡した。

元のお姉ちゃんは、リンゴのように頬を赤らめては、料理研究家の人とずっと見つめ合っている。


この料理研究家の人は、30代くらいで、髪は茶髪のショート。
前髪がやけに似合う。

外国人のように澄んだ瞳が、本当に綺麗。


「ごめん…もうクッキー無くなっちゃった
お詫びに握手でも!」


「いえ、私は大丈夫です!良ければ私のお姉ちゃんとして下さい♪」


「二人は姉妹だったの?道理で似ていると思った!
また来てね!」


そう言った料理研究家の人が、私とお姉ちゃんに握手してくれた。


「バイバイ!またね!」
「はい!また!クッキーありがとうございました」


料理研究家の人が私達に手を振り去った後、お姉ちゃんがこの感情をどう表していいかのか分からなくなり、私に突然ハイタッチしてきた。

クッキー欲しかったなぁ。
料理研究家の手作りって、絶対美味しいに決まってる。



「美莉亜、今日は付いてきてくれてありがとうね
おかげで私の念願が一つ叶ったよ!

そろそろ帰ろっか!」


「私も今日は楽しかった♪こちらこそありがとう!
帰りも安全運転でお願いします」


「何よ、それー
私が浮かれてるって言いたいの?
美莉亜ったら、もうー」



お姉ちゃんがプンスカしながらも、無事30分かけ家に到着した。


「「ただいまー」」

「あら、お帰りなさい!」


リビングに入るなり、息の合った私達を、お母さんが優しく出迎えてくれた。


誰かが出迎えてくれるのって、本当に幸せ。